人体実験少女
「うわあああああああん!!!!!!」
私はこの実験施設で生まれた。
「あ…、あの…ごめん…なさい…。そんな事するつもりじゃ…」
だから、家族の記憶なんて無かった。
『あれにはまだちゃんとした能力が備わっていませんね…』
『施行手術の副作用でしょうね、能力の暴走は…。あれには使いこなせませんね』
『あれに適した良い能力があるはずですが…』
『使いこなせないのなら、あれがいても意味が無い』
『…廃棄処分にしますか?』
『次の実験で能力が使いこなせないのなら、廃棄処分決定しますか』
ずっとずっと、此処にいるのが私の役目。
気が付くと、私の何人もの友だちがいなくなっていった。
なんでだろう。
気が付くと、今まで笑っていた人が、私の名前を呼んでくれていた人たちが消えていった。
私も、いつかあぁなるのだろうか。
そう思うと、今生きている事がとても辛くなっていく…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー私は、この実験施設が何者かによって爆破された時、隙を見て逃げ出した。
私の部屋に置いてあった洋服を着て、友だちから貰ったゴーグルを付けて。
でも、外の世界なんか本の中でしか見た事ないからわからない。
右も左もわからない。
いや方向感覚は勉強したから一応わかるけど。
でも私を引き取ってくれる所なんて無い。
保護施設に行けばなんとなるのだろうが、行き方もわからない。
地図も持っていない。
さぁ、どうする。
このまま飢え死にするか、それとも物乞いをするか。
最終手段はきっと、『盗み』しかないだろう。
…そんな事出来っこない。
そうして歩いた時、私に手を差し伸べてくれた人がいた。
「…君、あの実験施設の子だね?」
黒髪の、奇麗な顔立ちの、私より全く背が高い、男の子。
私は無言で首を縦に振る。
すると彼は、「本当!?良かった!なら、一緒に来てくれるかな」と言って、私に向かって微笑んでくれた。
私は彼の奇麗な心に一目惚れした。
…そうして、彼に惹かれていった