小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

傷跡半分ロボットヒューマン

「あっ…ぐっ…」
鋭い激痛が身体中を走る。
その痛みに頭は叩き起こされた。
…何時間この地面と睨めっこをしていたのだろうか。
もう記憶もない。あのお転婆で兄嫌いの妹と戦闘して、そこからの記憶にない。
「ぐっ…くっ…そ…、かはっ…」
口の中に鉄の味が充満する。
なんてこった、等々吐血までするほどまでに至ってしまった。
脳が痛みにエラーを起こす。
死にそうだ。
取り敢えず地面から顔を離そうとして、手を動かそうとするも肝心な手の感覚がない。
おかしい。おかしい。
今度は足を動かそうとして、脳が足に命令をするもこっちも反応がない。
どんどん脳がエラーを起こしていく。
もう一度手を動かそうとすれば、やっと反応したのは利き手である右の手だけだ。
ああ、なんとかこれで体の向きを変えられる。
痛みに悲鳴をあげる体に鞭を打って地面から顔を話せばまあ案の定、左腕も見当たらず、足も足の付け根からない。
周りはもう綺麗な血で真っ赤に染まっていた。
どうしようもなく、綺麗な赤。
ああ、多分死ぬな、という諦めが頭に浮かぶ。
もう少しマシな死に方したかったな、と思ってしまった俺はもう末期を迎えていた。
どんどん意識が薄れていく中、焦点の合わない目がある影を写す。






そのあと、どうなったかは覚えてないが、取り敢えず生きている。
いや、生きているのか死んでいるのかもわからない。
しかも人間なのかロボットなのかもわからない。
…唯一、理解していることは「助け出された」ことだけだった。
もう何もなかった。
何も俺は持ち合わせてない。



だから、彼奴の口説きにも揺らいでしまい、お付き合いする状態にもなったのかもしれない。
彼奴の優しさに甘えてしまった。
どうすればいいのか、わからない。
ああ、いつか彼奴が「自分は人間じゃない」なんて知ったら離れるのかもしれない。
怖い、という感情はあまり持ったことがなかったが、この時はじめて本当に恐ろしく感じた。
どうしようもない震えをどうしてくれよう。
何者なのかもわからない自分を誰が証明してくれるのか。
何故存在している?
何故今生きている?
何故今彼奴といる?
…考えない。
考えたくない。




死にたくなってくる感情を奥に飲み込んで、また明日も俺は彼奴に変わらない態度を示す。
彼奴はまた笑って好きでいてくれる事を願って。