遊び気分でれっつごー
「なゆー、任務おっつかれー♪」
いつも通り、軽い気持ちで任務帰りのなゆを迎えに行く。
カタパルトデッキは整備士という名の人で沢山だ。
「ニトラ、ただいま」
疲れた感じの顔をしているなゆ。
知ってるけど、そんな事お構いなしに話しかける。
「いやぁー、今日の任務も最低最悪だったね!上司の命令とはいえ、少しはなゆの身体の事考えろっていうもんだよねぇ」
お得意の饒舌を醸し出す。
半分呆れた表情のなゆだが、そういうとこだけは(失礼だけど)優しいのかちゃんと聞いていてくれている。
「仕様がないよ。なんせ私は兵器にしか見られていないからね」
真顔で返答するなゆの言葉には重みがあった。
なゆの事を、兵器にしか見ていない人たちは沢山いる。
この艦の中にも数人はいるだろう。
最も、数人の規模だけでも感謝だけど。
「酷いよねぇ、れっきとした人間なのに」
でも気楽に返答する。
なゆには心配かけさたくは無いからって理由で。
優しいでしょ、とか自慢もしてみたりもする。
「ニトラはその分良いよね」
「え、なんで?」
なゆの唐突の言葉に思わず固まる。
「だって、年取らないし、なんか皆に好かれてるから」
なるほど、と声を漏らす。
「なゆは知らないだろうけど、これでも結構嫌われてたのよ?十数年前は」
「十数年前でしょ?」
なゆは呆れた声を出した。
まぁね、そう返答する。
「まぁ色んな事はあったさ。なゆみたいに元はあまり喋らなかったのよ?私」
「私喋らないの」
「自覚なかったのか」
あまりの言葉に思わずツッコミを入れる。
なんて鈍感な子だろうか。
あれでよく戦える。
「意外だなぁ、ニトラが喋らないとか、想像できない」
「悲しんでるところを想像してみれば」
「悲しんでる姿さえ想像できない」
「ひっどい!!!」
平凡な会話が続く。
今はこのままでも良いのかもしれない。
このまま戦争が続いていれば、もしかしたらなゆとずっと一緒にいれるのかもしれない。考えてはいけない事を考えてしまう。
でも、少しくらい思ってたって良いじゃないか。
『第一特殊部隊隊長、なゆに告げる。これより、新たなミッションを下す。0024(まるまるにいよん)でブリッジに集合。整備士のニトラも来るように』
「…あいあいさー」
なゆが力なく応酬する。
まぁ、今はそんなこと考えなくても良いか。
「じゃ、今日も遊び気分でレッツゴー!!!」
「え、まじ」
お遊びな感じで出撃したって、こいつは帰ってくるんだろうな。
そんな事を考えていた、宇宙でもある日の事だった。