ネイム
「暁ー!こっちの資料、なゆに届けてくれない??」
「はーい!暁にお任あれ、です!」
私には暁っていう名前がある。
時々、女の子らしい名前ではないな、と思うけど結構気に入っている。
だって、私を助けてくれた人がつけてくれた名前だもの。
「暁さん!お菓子食べるっすか?」
「お菓子!?!?食べる、です!」
因に甘いものには弱い私です。
前、提督雛様に「暁って餌付けされてるよねえ」っていわれたことがある。
いいじゃないですか、甘いもの。
因に八雲にも呆れられています。
何故でしょうねえ。
「そういえば、なんかさあ、前に暁って子、ここにいなかった?」
廊下を歩いていたら、会議室からニトラの声が聞こえてきた。
「いたっけ、そんな子」
もう一人、なゆの声。
知る限りでは、この二人が一番パートナーシップがある。
いつも一緒にいるし。
ていうか、暁が他にもいたって本当なのだろうか。
気になって盗み聞きしてしまった。
「え、忘れたんかい。まーだ、私はなゆよりも記憶力は良いらしいね」
「うるさい、余計なことしかどうせ覚えてないでしょ?」
「まあ、その余計なことがなゆを助けてるんだけどね?あ、本題。その暁って子、前に此処にいた提督のお気に入りの艦でいたわ。愛ですぎて、少し嫌われてたけどね」
「へえ。で、誰なの?その、前にいた提督って」
「ああ、その提督の名前は、私の記憶が正しければ」
嘘、だなんて思いたくなかった。
もしかして、私はその人の替え玉だったのかもしれない。
知ってる人の、名前、だったんだ。
「中宮 光輝っていうらしいよ」
そうだ。
私の名付け親だ。