小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

七夕と夕日の笑顔と

「え…何それ…」
「いや、何それって…七夕よ。たーなーばーたー」
そんなに強調しなくても、一回言ってもらえればわかる。
「ラフィーも、何かお願い事かけばいいよ。叶うかも」
銀色の綺麗なのか綺麗じゃないのかわからない少女から細長くて青い、小さな紙切れを貰った。
なるほど、日本にはこういう年間行事があるのかと、熟感心する。
私はまだ日本に来てから一年も経っていないので、クリスマスなど初詣は知っていたが、こういうイベント(?)までは知らなかった。
季節が豊かな国でいいな、と思う。
「これにお願い事書けばいいの?」
青い紙切れを見ながら聞く。
「そうそう。で、あの笹につけるわけよ」
「へえ…。レインお姉ちゃんは書かないの?お願い」
横に座っている銀髪の少女を愛称で呼びながらもう一度聞いた。
彼女は首を捻り、ううんと呻いた。
大人(というわけでもないが)になるとお願い事が少なくなるとはいい加減な先生が言っていたが、本当にそうなのか。
大人になりたくないな、とこの短冊というものに書いてみようかな。
「ないわけじゃないけどね、すっごいくだらない事だから書かないよ」
「でもお願い事でしょ?」
「そうなんだけど…見られたら結構恥ずかしいなあ、って」
「なるほど…」
恥ずかしい、とまでは考えがなかった。
まだ幼い私には、羞恥心がないからだろうか。
そういえばその願いとはなんなんだろう。
聞きにくいけど、聞いてみる事にした。
「レインのその願いってなあに?」
彼女は何故だか照れた様にこっちを向いて「皆が仲良くなりますように、って」と言った。
ああそうか、と思う。
そういう願いでもいいのかな。
「じゃあ私も」









「ラフィーちゃあん!今日は七夕なんだって!」
「知ってるよ!さっきお願い事してきたよ」
「え?どんな願い?」
「えへへ。エナちゃんや皆ともっともっと仲良くできますように!」