壇上の神様
恐れらて神様に奉られた。
ご機嫌取りのため。
少し力が強いだけ。
少し魔法を使える力が強いだけ。
奉られた偽物の神様は人の願いを叶えやしない。
それはそうだとも。
だって独りが嫌いだから。
涙の跡は消えない。
赤く腫れあがった目を擦って寝台から起き上がる少女は妹の姿を脳裏に過ぎらせる。
守りたい思いで神様になったはず。
その神様を忘れいつのまにか時代が変わって背景も変わっていった。
擬い物の姿は何も産み出さない。
少女の後ろに立つ影に誰も気づくことなく、高笑いだけが聖堂に響き渡る。
「あの子知らないよ。カミサマなんだもん。近づいちゃいけないって、僕お母さんに」
神様への供物はない。
「ご機嫌取り」じゃなくなったのね。