小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

傷跡半分ロボットヒューマン2

小さい頃は、まだ何もできないただの子供でよく泣いていた。
転んだだけで泣いたり、寂しくて泣いたり。
そんな時はいつも母親が俺を助けにきてくれた。
暖かい、あの大きな腕で抱きしめて頭を撫でてくれて。
大好きだった。あの大きい暖かい腕の中が大好きだった。
その大好きな物も、俺の嫌いな父親のエゴで消えて、いなくなって。
代わりの「母親」が用意された。
その「母親」は俺を産んだ母親とは違う。
暖かくなくて、冷たくて。
そのせいでずっと一人で泣いていた。
この「母親」俺が泣いていようが無視してくれていた。
前みたいに助けてはくれない。
一人で、独りで全部やらなきゃ。


そうしなければ、生きる術がない。


そこから元々持ち合わせていた魔法を使わなくなった。
精神が安定しない日々を生き延びていた。
妹が生まれりゃもう俺は他人で。

何が、なんだか、わからない。

別に不幸だとは思ってはいない。
これが自分に与えられた使命なんだと、何処かで納得していた。




いつからか本当の母親を探そうなんて、阿呆な事を考え始めた。
もう使えなくなった火の魔法を頼りに、俺は18歳の時に、家を出た。



泣いてばかり。泣いて。泣く毎日。

今でもそうだ。結局大人になりきれなかった俺はもう30代近くて。

それでもまだ、中身は成長してない。
止まったままだ。


体が軋む。

「いつかは体が動かなくなるかもしれない。その時までに…ちゃんと開発を進めておくから」

自分を助けてくれた科学者の言葉。
せめて、体が動かなくなる前までに。



何か、人に役立つことがしたい。



ねえ、泣き虫なのは、変えられないのかな、お母さん。