小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

感情のない彼女の修正項目

私、ベッドに座った時初めて『柔らかい』って思った。

ふかふかで、今までにない楽しさが心を埋め尽くした。

食べ物を食べた時初めて『美味しい』と思ったり、『マズい』って思ったりした。

他にも『辛い』とか『甘い』とか『苦い』も思った。

でもこれだけの味覚があると毎日飽きないな、って思う。

初めて風邪をひいた時『苦しい』って思った。

早く治して外に遊びに行きたかった。

初めて友達ができた時、『楽しい』って思った。

みんな私に『明日も遊ぼうね』って言ってくれたの。

初めて外を歩いた時、『綺麗』って思った。

花も、空も、人も、鳥も、犬も猫も、みんな綺麗って思った。

凄く凄く、綺麗だった。

空がきらきら青くなったり、さらさらオレンジになったり、もやもや黒くなったり。

でもくらいときでも星が、月が私たちを照らしてくれている。

 

 

 

初めて貴方に触れた時、『暖かい』と思った。

なのに私は『冷たい』の。

ねえ、なんで?どうして?

どうして私の手は冷たいの?なのにどうして貴方の手は暖かいの?

 

 

…私は死んでいた。暗闇の中に一人冷たく、寂しく、死んでいた。

大きな鎌に写る私はまるで「化け物」だった。

私は鎌の中に写る私を呪った。

…もう一度貴方に会いたい。

もう一度この冷たい手をとってほしかった。

握って、暖かいと感じさせて。

触れて、もっと、側にいてほしい。

そんな事叶うなんて思ってない。

だけど、だけれども、あるはずのない未来にだって、願わずにはいられなくて。

…悲しい。私の神様はどこへ行ってしまったのだろうか。

 

 

 

…もう一度、感情を捨ててしまおう。

 

 

 

「ねえ華楽ちゃん、もう少し笑おうよ」

何故そんな事をいうのか私にはわからなかった。

「…なんで?笑わなくても生きてけるでしょ?」

「…そうだけどさあ…笑った方が可愛いよ」

彼は苦笑した。

でも、そんなの持っていても意味なんてないのではないだろうか。

「…なんかロボットみたいだね。この前みたロボットみたいだ…。それじゃあ華楽ちゃんには修正項目が必要だね」

彼はそういって私に笑いかけた。

 

修正項目…それって私ロボットってことなのかな…いや、生身の人間だけど…

 

 

…もう一度、笑えるのかな