転生死神少女
『何故人間が、ワタシと仲を築こうとする』
ある少女が、『死』を制する者の前にやって来た。
「…だって貴方、とても寂しそうな顔をしている」
少女はとても澄んだ瞳を、『死』向けて話しかけた。
『死』は既に死んだ少女ち話す事を許さない。
だが彼女はそれでも、『死』と会話を成そうとしていた。
『…そこまでに問うなら答えよう。ワタシは死だ。人間の魂を食べるのが役目。お前達などと一緒になる気は少しもない。早く行け。さもないとお前も…』
『死』は大鎌を少女に振りかざした。
「…そんなの、とても寂しいよ」
少女は澄んだ綺麗な声で、また『死』に話かける。
『死』は大鎌を振りかざすのを止めた。
「…悲しいさ。寂しいさ。それでも、人間の魂を食べなければ…、ワタシは…」
『死』は目線を下に向ける。
とても悲しい目。
人間とは分かち合えない。
その性を背負って生きていく。
『死』は唇を噛み締めた。
「なら、私と一緒にくれば良い」
少女は『死』に言う。
『死』はその言葉に動揺を隠せない。
隠せるはずがない。
人間が『死』と一緒に生きるなど、到底考えられない。
『死』は少女に告げる。
「…それはワタシをお前の中に封印するという事か…。やめとけ。一生死ねない身体になるぞ?」
少女はそれでも動じない。
そして満面の笑みでこう言った。
「それに、人間の魂よりもお菓子の方が美味しくないかな?」
『死』は、初めて涙を零した。
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「華楽…、そんなにお菓子食べてたら太るぞー」
私の頬を突いてくる人がいる。
螢だ。
私の『大切な人』です。
「もふ…。平気…。大鎌振り回してれば…」
そしてそのままお菓子食べに熱中する。
でもここまでお菓子を持って来てくれるのは螢だ。
それなのに太るぞって言ってくるのはとても可笑しい。
「ふぬぅ、ケーキ美味しい…」
もふもふと食べ続ける。
螢は隣で私を見て笑っている。
このまま平和が続けば良いのに。
時間が止まれば良いのに。
でも世界がどうなろうと、どうだって良いとだって考えてしまう。
彼が側にいて、幸せであれば、私はそれで良い。
「…平和だねぇ…」
そう呟いた。