すてきな
暑い。暑い。
毎日がただ暑いで塗りつぶされている気がする。ラフィーはそんな事を心の何処かで考えていた。
「(ていっても、私がパーカー着てるのがいけないんだけどね…)」
相変わらず気分が晴れない。いつまでこんな狭く、白い、なんの面白味も無い世界と睨めっこしなければいけないのだろう。
「ほんと、嫌になるなぁ」
ラフィーは無意識のうちに、そんな言葉を口から漏らした。
「よぉ、元気かー…って、そんな事ないよな。おはよう」
「…そんな事言わないで下さい…。もっと気分が曇ります」
ラフィーの介護担任のコアが来た。彼はもうラフィーがこの病院に入院してから、ずっとラフィーの介護を続けている先生だった。
コアクロスはとても陽気な人懐っこい性格で、何より信頼できる。ラフィーにとってもある意味頼れるお兄さんな存在だ。
親をなくした彼女にとっては、必要な栄養なのだ。
「わりーわりー。さ、点滴を変えるからな」
コアはラフィーの左手を取り、点滴の針を変えた。
「ねぇねぇ、いつ退院できるの」
ラフィーはコアを見上げながら質問した。コアは苦笑いしながら、「まだまだだよ」と言い、その場から一旦立ち去った。
まだ、この悪夢からは抜け出せない。そんな日々が続いた。
ただ、光が差し込むのも、時間の問題だったー。