小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

限りなく透明に近い

傷ついた体を引きずって逃げてきた。
私は何も悪くない、悪くない、悪いのは神様だ。
どうしてこんな運命を、強くない私にこんな辛い運命を与えたのでしょう。
神様、貴方は試練しか与えないお方なのでしょうか。
重たく、血で汚れきった体に鞭を打ち走り続ける。
思考の廻らない頭の中は「逃げろ」という赤い文字が浮かんでいる。
どこまで逃げればいいのか、私にはわksらない。
何度も転び、頭を打ち、灯りが見えた先で、私の目には希望があった。
家が建っていた。誰もない小さな家。
永遠にそこで住もう。誰も邪魔できない私一人の。

限りなく透明に近い存在として、私は、貴方に愛された。
傷ついて治らない体を愛してくれた。
人間ではない彼の暖かい手に握られて、でも怖かった。
温もりを感じたことのない私にとって、その暖かさが恐怖だった。
得体の知れない、何か。
それでも、貴方は、それでも。

愛で満たされた私と、愛で満たしてくれた貴方だけで、私は、永遠に幸せになれた。

限りなく透明に近い存在の。