小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

凍てつく

変わらない世界。赤く染まった世界に見えた。

少年が銃を持って乱射している。
大人たちが少女を取り囲んで腰を振っている。
肥えた人間は金に貪欲だ。
貧しい人間は何もなく死んでいる。
なんと嘆かわしい事だろうか。唯一の蜘蛛の糸でさえ、神は垂らす事も赦さない。
鉄の塊を持ち、鉛を投げつけ、大地を奪い合い、血を流す。何千年も前から繰り返される悲劇。
余程人間は戦う事が好きと見える。
「平和主義者」なんて言葉はまやかしに過ぎない。言葉の建前だらけで裏に隠している凶暴な獣は一体何だ?
目の前にいる震えた少女。此奴も世界の餌食に見える。
光を宿さぬ目、現実などそこには存在しない。
だけど、彼らはそれが不幸だなんて思ってはいない。
いま目に写っているモノ全てが自分に課せられた『運命』だと、自覚はしている。
それを不幸だと思っているのは、戦いを知らない、幸せな環境に、国に生まれた人間たち。
自分たちは幸せだと、どこまでそうだと言えるかな。
だが、彼らも貪欲だ。
何かと自分の考えていなかった出来事が起きるだけで、ヒステリックになり、『自分は不幸』だと喚き散らす。
そうじゃないのか?
そんな風にして『もっと幸せにしてください』などと羞恥の心もなくよく叫べるものだ。
イかれてる。
 
あれは、どこから生まれたのだろう。
何処からともなく現れた『存在』であるあの白い髪の少女の姿をした何かは、ただ淡々と無心に人間の願いを叶えていた。
金を、富を、名声を、知識を、分け隔てなく、与えていた。
そうしていく中で、あれもまた、意識を身につけ、知識を身につけ『力』を身につけていた。
何を思ったのか、『セカイ』まで作り出したあれはその『セカイ』に閉じこもっていった。
それだけの犠牲者が出たのだろう、大剣を抱えた少年は『セカイ』に背こうと、あれに歯向かっていった。
それなのに、自分の存在を否定することゆるさないあれは、容赦なく、血の固まった何かへと変わっていった。
一体どれだけ時代が変わっていって、『セカイ』が変わっていって、そこに住む『神様』が変わっていってしまったとしても、人間も、この世界の条理も、何一つ変わりやしない。
絶望した。自分の為すべき姿は、一体どんな利益を齎すのか。
無条理な世界で、抗うこともせずに、俺は、一体。