小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

World distraction

一息もつけない世界で生きていた。
理不尽な人間の願いを叶え続けてきた神様は目を閉じていた。
現実を見ないふりして人を引きずり込み、一般人に死神を与えもう一人の神様には飴を与えた。
歪んで丸くはならない世界はこれ以上の犠牲を払い続ける必要などないはずなのに、未だに人を深淵の彼方へと引きずり込もうとする。
意味など誰も知るはずがなく、そして偽りの世界の中で生きている事すらもわからない。
擬似的な幸せを本物の幸せと感じ取り、悲しみを糧とする憎しみは増大し続けた。
愛は超越してしまえば大きい憎しみを生み出す。
あの身勝手で我儘な神様は愛を知るはずがないから、憎しみも理解できないと感じていた。
僕は早く気付くべきだったんだ。
よくよく考えればあの神様の行動は憎しみで動かされている事を。
憎しみの塊で出来た神様。
それはもう既に神様ではないはずだ。
気づけ、世界がどろどろに歪んだ愛で構成されている事を。
どれだけそうじゃないと否定しようとも、いつかは気づき、否が応でも肯定しなければならない時がいずれ来る。
赤髪の科学者がそうであったように。
否定し続けた世界に牙を向いた。
今、彼はどうなっただろう。
僕の妹を作った彼は、生きているだろうか。
無くなってしまった心の拠り所の彼を見つける事は出来ただろうか。
そうであってほしい。
そうであってほしいと願い続ける事しかできない意識だけの存在でしかない僕は只々、星々の輝く無空間の間で宙を舞う。
小さな死神の少女は動かないで世界を見守っていた。
人間の真似事をした神様は憎しみの存在を肯定した。
それだけで世界はこうも歪んでいった。
不条理でしかない世界を愛したい。
人ではない僕だけれど、可哀想で愛おしいあの子たちを助けたい。
存在できる範囲で、僕にできる事をしたい。
かつて世界に愛を示したあの神様のように、
僕に力を、ください。