小説と独り言

趣味で書いているオリジナルキャラの小説と、なんか愚痴ってます

異常性癖少年

「わああああああああ!!!!!!」

とある学校の廊下に、男子生徒の悲鳴が響き渡る。

生徒はその叫びに反応し、まるで蛆でも湧くかの様に悲鳴がした方へと集まる。

そこに少年が立っていた。

カッターを持って、血だらけで。

いや、その少年の血は彼自身の血ではない。

そう、先ほど叫んだ少年の血だった。

「やめっ…!!お願いだ!!!やめてくれよ!!!!!樟葉!!!!!」

どうやら樟葉と呼ばれる少年は、血まみれの少年の友だちらしい。

その光景を見た女子生徒は悲鳴を上げ、他の男子生徒は教師を呼ぼうと教師の名前を張り上げている。

カッターを持った少年、樟葉はそんな光景にも目もくれず、また血まみれの少年に襲いかかろうとする。

「ふふ…、お前のその奇麗で真っ赤な血を見せろよ…」

樟葉は不気味に笑う。

少年は怯える。

他の生徒の悲鳴が止まない。

そして、樟葉がカッターを振り上げた時だった。

「何やってんだよ樟葉!!!」

もう一人、彼を呼ぶ声がした。

樟葉はその声にびくりと肩を振るわせ、声の主へと顔を向ける。

「あ…、イル…」

白髪の少年がいた。

イルと呼ばれた少年は、迷いもなく樟葉の方へと向かって行く。

樟葉は先ほどとは全く違った表情で怯えていた。

そして樟葉の前までイルが来て、目の前で歩みを止める。

樟葉はこれ以上なく怯えた表情で彼を見つめる。

バキィッ、と廊下に響き渡る乾いた音。

生徒は呆然とその光景を見ていた。

「あ、あいつ…、殴った…」

男子生徒は、その光景に呆気に取られながらも口を開いた。

樟葉はカッターを落として、その場にペタンと座り込む。

「前にも言ったよな。カッターを学校に持ち込むなって」

「ごめ…」

イルはカッターを拾い、刃をしまった。

そして樟葉の隣に倒れている血まみれの少年の方へと駆け寄った。

「大丈夫か」

「あぁ…なんとか…」

「傷はなんとか浅いから、保健室に行って薬を塗ってもらおうか」

その場だけでテキパキと作業が進められて行く。

樟葉は立ち上がらない。

そしてイルと、その少年は横を通り過ぎる。

「…なんで、こんな風に生まれたんだ」

少年の言葉は、情けなく廊下に響いただけだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「樟葉ってさぁ、ボレアフィリアなんでしょ?

屋上でこの学校の女子生徒が言った。

「多分…、そうなんだと思う…」

樟葉は女子生徒の隣に座って返答する。

ふーん、と女子生徒は言う。

「でもさ、気にすることはないわ」

「え、なんで」

樟葉は彼女が口にする言葉に反応する。

そんなまだあどけない顔立ちの樟葉に、女子生徒はこう言った。

「だって、樟葉は樟葉でしょ?」

彼女の魔法の言葉は、彼の心に染み付いて離さなかった。