二重人格少女
「あ、おはようお姉ちゃん」
「…おはよう」
私は人と喋るのが苦手だった。
「…何でそんなにボソボソ喋るのよー。もっとハキハキ喋んなきゃわかんないー!」
だから妹と喋るのも苦手だった。
「わ、私だって、好きでこんな喋り方してるんじゃ、ないんだから…」
皆からは病気と思われているそうです。
「ふぅん…。ならノアがお姉ちゃんの代弁者になってあげようか」
「…は?い、意味わかんないよ…」
でもいつからだろう。
「冗談冗談!でも、私がお姉ちゃんの中に入って代弁できれば良いのに…。そしたらお姉ちゃん苦労しないじゃん?」
「まぁそうだけど…。そんな理論上無い事、出来るわけないでしょ…。ほら、早く支度してね」
あんなにハキハキ喋れる様になったのは。
「ふぇーい…」
…多分彼女が入ってきた時くらいだろう…。
あの出来事から何年経っただろう。
「うわあぁ…。なんでお前ん家はこんな汚いんだ…」
「うっさいな。しょうがないでしょ?妹弟沢山いると片づけしてる暇がないんだから」
「おいおい…少しは時間あんだろ…」
「じゃあ片付けて」
「ったく…」
本当にノアには感謝している。
私をここまで変えてくれた。
聞こえてないだろうけど、伝わらないだろうけど。
ありがとう